記事: バルカナイズ製法に挑んだ理由 - 1st-project 窯の再生
バルカナイズ製法に挑んだ理由 - 1st-project 窯の再生
hide-base projectは人と技術の繋がりの中で、眠っていた小さな加硫窯と巡り合うことが出来ました。
使われなくなりつつあるこの伝統製法と窯の再生には、多くの技術と多くの人が、プロジェクトを中心に渦巻き、うねりを起こしました。
プロジェクトブログ初回である今回は、ブランド創立のルーツである「窯の再生」について。
スニーカー好きなら一度は耳にしたことがある「バルカナイズ製法」。この製法でシューズを作れる工場が、国内ではほとんどないのをご存知ですか?
日本製の高品質スニーカーが少ない理由のひとつが、この製法にあります。
プロデューサー 杉山:
「バルカナイズ製法の靴なんて、もう作れるところほとんどないよ。」
業界じゃ、そんな言葉が普通に飛び交ってたんです。
でも、それを聞くたびに「じゃあ、ぼくがやってやろうじゃないか」って。自分の中に湧き上がったのは反骨心でした。
業界では「できない」が前提の製法なんですけど、それが逆にぼくには魅力的で。
「できない」って言われたら、「やれる」って言いたくなるし、実現しなかったら男が廃ると思っちゃう。堅い人間なんです笑
最初の挑戦は失敗ばかり
最初は岡山の工場で試作を繰り返しました。
加硫機械を使ってみたんですけど、これがうまくいかなくて。何度も失敗して、「やっぱ無理なのかな」って思う瞬間もありましたが、それでも、諦めるって選択肢はありませんでした。
そんな中、日進ゴムの技術者さんと出会い、可能性を探る会話が生まれました。この出会いが転機となり、OEMでの仕事を通して、バルカナイズ製法に適した設備を使える環境が整いました。そして、ようやくオリジナルスニーカーの製作に漕ぎつけたんです。
なぜそこまでこだわるのか?
バルカナイズ製法って、手間もコストもかかるんです。普通に考えたら、やりたがらないメーカーが多いのもわかる。
でも、自分はそういう「めんどくさいけど、ちゃんといいもの」に惹かれるんです。
面倒だからこそ、作る意味があるって思ってます。
消耗品やファッションアイテムとしての一過性のものではなく、手間ひまをかけ、妥協なく仕上げた「日本製」だからこそ生まれる一足なんです。履くたびに馴染み、持ち主とともに成長していく。そんなシューズを広く世界に届けていくことが目標です。
不可能が形になった「ORIGIN」
いろんな壁があって、何度も失敗して、それでも諦めずにやり続けて。
ようやく今、バルカナイズ製法のスニーカーが形になりました。
まだまだ完成形とは言えないかもしれないけど、これが自分のスタイル。
モノづくりの原点である「これ作りたい、これやりたい」という気持ちを追いかける、自分たちのペースでやっていくだけです。
現在、手間とコストの壁に阻まれ、メーカーとしてバルカナイズ製法のラインアップを維持することが難しい状況ではあります。想定はしていましたが、やはり苦しい。
でも、近い将来必ずカムバックします。 待っていてください。